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〜医者はどこまで患者と向き合っているか?〜主治医はあなた【随時更新】

現代の医療のあり方に一石を投じ、これからの医療の可能性を模索する。
心身統合医療に力を注ぐ、医師・樋田和彦のメッセージ。

主治医はあなた

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Session3次代の医療として
キネシオロジーを考える

●石丸賢一
「日本キネシオロジー総合学院」学長、「国際キネシオロジー大学」日本代表者。タッチフォーヘルスの創始者ジョン・シー博士から直接手ほどきを受け、その技術と心を日本に伝えるため10年以上、活動中。2007年、日本文化振興会より国際アカデミー賞受賞。現在までに100名以上のタッチフォーヘルスのインストラクターを輩出。
日本キネシオロジー総合学院の公式サイト http://www.kinesiology.jp

マスコミでも取り上げているように、検査や薬剤の需要拡大、高齢化などによって、日本の医療費は41兆円とうなぎのぼりで、もはや従来の医療のあり方では立ち行かない状況になりつつあります。こうしたなか、医療費削減にもつながるとして、西洋医学とは一線を画したキネシオロジーが国内外で注目をされています。
トークセッション3では、日本にキネシオロジーを広めた第一人者、石丸賢一さんにご登場いただきます。

■ 筋反射を医療に応用する「アプライドキネシオロジー」は、最先端の医学。

樋田 石丸さんに初めてお会いしたのは、ホリスティック医学協会中部支部が名古屋で開催したセミナー型の体験会です。そこで私は、キネシオロジーを日本に広めた石丸さんの存在を知り、以来15年以上、長くおつきあいをさせていただいています。今日はキネシオロジーとは何なのか。これまでの体験も含め、お話いただければと思います。

石丸 キネシオロジーの語源「キネディック」は、ギリシャ語で「筋肉の動きのサイエンス」を意味します。このことからもお分かりいただけるように、キネシオロジーは本来、医学ではなく筋肉についての科学でした。スポーツ選手などが筋肉の動きを研究し、いいパフォーマンス、いい成績を出すための学問だったのです。その歴史は古く、古代ギリシャ時代までさかのぼります。

樋田 医療機器というものがなかった時代においては、「体を診る」技術は現代よりはるかに優れていたでしょう。患者さんの体から情報を得て適切な治療を施すため、医療者たちが感覚を磨き経験を積んだはずですから。そうした歴史のなかで、キネシオロジーが医学に取り入れられるようになったのは興味深い話ですね。

石丸 1960年代、カイロプラクター(注1)のジョージ・グッドハート博士という方が、筋肉を少し動かすだけで骨が整ったという発見から、キネシオロジーを医療に応用する「アプライドキネシオロジー(応用キネシオロジー)」を取り入れました。当時、筋肉のバランス調整によって、骨を整え臓器の調子を良くするという考えは、まさに最先端の医学といえるもので、キネシオロジーを医療に応用する運動は一気に広まりました。じつは、日本の体育学科でも早くからキネシオロとジーという学問が取り入れられています。

樋田 専門機器などを一切使わず、体を診察するという意味で、キネシオロジーは優れた技術だと思います。現代医療では、問診すらおろそかにされがちで、検査データによって正常・異常を区分けしたり、病名をつけたりします。しかし、生きた体には、自ら治そうとする本能が備わっています。その治癒力を引き出そうと、皮膚や筋肉や骨に適した刺激を与える治療術を体系づけていったのがアプライドキネシオロジーだと理解しています。

石丸 アプライドキネシオロジーはすばらしいものですが、ひとつ問題がありました。プロのメディカルドクターか、プロのカイロプラクティックドクターなどアメリカの国家資格を持った医師しか使えない点です。このアプライドキネシオロジーを一般の人が使えるようにと普及に大きく貢献したのが、「タッチフォーヘルス(注2)」の創始者であり、「国際アプライドキネシオロジー学会」代表のジョン・シー博士でした。

樋田 タッチフォーヘルスは家庭でできる画期的な健康術ですね。

石丸 一般の方が使えるムーブメントとしては大きなものになり、タッチフォーヘルスの実践者は公称1,000万人、100カ国以上に広がっているといわれています。

樋田 私は1985年にバイ・ディジタルO-リングテストと出合ってから、耳鼻咽喉科の日常診療に応用していました。さらに、石丸さんと出会ってからは、キネシオロジーのひとつ「スリー・イン・ワン(注3)」を習得して診療に取り入れ、ストレス学説と筋肉という視点から「心と体と場」の全人的医学であるホリスティック医学に視野が開きました。こうして私は、バイ・ディジタルO-リングテストとスリー・イン・ワンの両者を診療に応用することになったのです。
タッチフォーヘルスは病気を治すものではありませんが、いずれもアプライドキネシオロジーを源流とし、石丸さんが言われるように、患者さんサイドから診ることを重視している点では共通と思っています。

■ 自分が自分を健康にする、幸せにする。この新しいビジョンが世界を変える。

樋田 石丸さんは大学で哲学科を専攻され、心理学の出身でいらっしゃいます。どういった経緯で、タッチフォーヘルスへの道を選ばれたのですか。

石丸 私は瞑想が好きでした。瞑想して悟りを開くことを学ぼうと、インドをよく旅していました。30歳のとき、悟りの一瞥を経験し、無痛・無心になれることを知りました。すばらしい体験でした。しかし、日本に帰ったらまた苦しい生活が始まるわけです。お金を儲けても、結婚しても、悟りの境地のような幸せが得られない。なぜなら、悟りの幸せのほうが遥かに上だからです。とはいえ、瞑想は簡単なものではありません。いったいどうしたら自分は幸せになれるのかと悩んでいたとき、瞑想することなく自分の内側を探れる可能性を持ったキネシオロジーに出合ったのです。これはおもしろい。やってみようと思いました。瞑想の代わりとして、タッチフォーヘルスを始めたのですが、やがて医療系や健康系、教育系につながる応用範囲の広いものだと気づきました。しかも、これは一般の人にも使える。すごいと思いました。

樋田 キネシオロジーとの出会いで、ご自身を発見する新しい境地を開かれたのですね。私は石丸さんの立場とは違いますが、患者さんの身体の中にあるさまざまな情報を、キネシオロジーを使って聞き出すことを日々の診療で行っています。内面を探るのはもちろんですが、患者さん自身さえ気づきもしない奥底にあるもの。キネシオロジーでその核心にふれると、指の力が変化するのです。最近、問診で既往歴や家族歴もあまり聞かず、いきなり検査するケースが少なくないようです。しかも、機器がハイテクであるほど付加価値が高いとされるから、医療費もどんどん上がっていく。しかし、そういった機器には映らない情報もある。むしろ映らないものの方が多い。ですから私は、医療にキネシオロジーのような方法はますます必要になっていくと考えています。

石丸 私もキネシオロジーが世界を変えると信じています。社会問題でいうと、いじめだとか、強いものが弱いものをいじめる上下関係がはびこっています。社会、会社、家庭、どこにおいても。そういうことを根本的に変えるにはどうしたらいいのか。自分で自分を癒すという方向しかないと思います。医者が患者を癒すという考え方がすでに、上下関係ですから。医者は「治してやろう」ではなく、「お互い健康でいましょう」という予防医学にエネルギーを注ぐべきではないでしょうか。もちろん難病などについて医療として研究することも必要です。専門分野における進化は、医療の当然の流れかと思います。

樋田 医療に依存するあまり、患者さんが健康になろうと努めなくなるゆゆしき問題です。しかし、医療には本来、教育という側面があり、患者さんが健康を勝ち取るための後押しをする立場にもあります。

石丸 心から幸せになるために必要なものは、「自立」です。自分で健康になって幸せになるという道、方向を指さないとだめなのです。自分で自分を健康にする、幸せにするという新しいビジョンこそが、地球を変えていくと私は思っています。しかし、日本で保険のきかないセラピーは1回1万円ほどかかるので、多くの人は保険が使える病院を頼ってしまう。国が保険制度を維持している間は、医療に依存せざるをえない状況が続くのではないでしょうか。

■ お金をかけずに健康へと導く。キネシオロジーが次の医療となる日を夢見て。

樋田 石丸さんは世界各国を見ていらっしゃいますが、外国で優れた医療制度があればお話しください。

石丸 例えばスイスは、治療を受けるための医療保険と、病気になるのを防いだり健康になるためのセラピーに行ったりするための未病保険、2種類があります。未病保険はキネシオロジーにも適応されます。「西洋医学で治らず、キネシオロジーで治るのに、なぜ保険が使えないのか」と国民が訴えたために、西洋医学の保険とは別の保険が誕生したのです。日本にも未病保険があればどんなにいいだろうと考えたこともありましたが、これは非常にデリケートな問題で、今は保険は不要と考えています。もし未病保険ができると、キネシオロジストの技術レベルが落ちるかもしれないからです。

樋田 どういうことですか。

石丸 保険という制度がからむと、国が審査に関わるようになります。すると、自分の健康を守るスキルを上げることより、資格を取るための勉強に傾いてしまう可能性があります。それはキネシオロジストのレベルダウンにつながります。実際、スイスではキネシオロジーが保険に守られるようになってからいっこうに発展しない。むしろダウンしている。むしろ日本のキネシオロジストのレベルのほうが高い。国が守ってくれない分、実力で良さを伝えなければならないので、皆さん必死に自身を鍛えているのです。

樋田 なるほど。3年ほど前、セルビアで開催されたEUの統合医療学会に参加したのですが、どこの国も西洋医学一本でやってきたために医療費がどんどん高騰し、国家財政が圧迫されるなか、西洋医学ではない道が開かれつつあることを実感しました。

石丸 お金をかけずにできるものは何か、そのひとつがキネシオロジーです。キーワードは「気」。額に手を触るだけでストレスを取り除けることがキネシオロジーによって発見されて久しいのに、いまだに医学に取り入れていないのは不思議です。血流は通常、前頭葉に集まるものですが、感情的に困っている人は側頭葉にエネルギーたまる。それを前頭葉に集めることで気持ちが自由になるわけです。これは説明もできるし、何万回という症例があるはずなのに、医療では誰も証明しようとしません。簡単すぎて馬鹿にしているのです。もし証明すればストレス関係の医学は急激に進むと思うし、ノーベル賞も取れるはずです。

樋田 バイ・ディジタルオーリングテストもキネシオロジーも、効果は認めても、誰も証明しようとしないのは、科学は努力で成果を出さなければならないと、マインドコントロールされているからでしょう。価値あることは時間をかけ、努力に努力を重ねてようやく成し遂げられるものだと。

石丸 薬なしで病気が治ったら、医者もメーカーも困りますからね。そうではない方向で、どうキネシオロジーを導入するか。いい方法を考える人がいたら私は喜んでお手伝いします。

樋田 まずは、今の保険制度を見直すべきです。多くの人が10種類以上、複数科を受診している人は20種類の薬を服用している人も珍しくない。それで病気が治るのかというと、成果も上がっていない。医療費の高騰は国家財政まで圧迫するほどの危機感をもたらしています。しかし、こうした危機的状況のなかでこそ、医療は治療と予防・健康増進に視野を向けたバランスがとれたものになっていくでしょう。そのプロセスにおいて、キネシオロジーが活用されることを期待したいですね。私の夢は医療と教育にキネシオロジーが取り入れられることです。今日、石丸さんとお会いして、その気持ちをいっそう強くしました。

〜対談を終えて〜

樋田 和彦【医師】 × 石丸賢一【日本キネシオロジー総合学院 学長】キネシオロジーが次の医療になる。これが石丸さんと私の共通認識であり、夢であり、目標です。
医療費がますます高騰するなか、西洋医学中心の医療の在り方に疑問と危機感を世界中の人々が持つようになり、現代医療と代替医療を組み合わせた統合医療を求める風潮が強くなりつつあります。しかし、医療費を低く抑えるために最も効果的なのは、人々が生活のなかで自ら健康を守り、病気を予防すること。その後押しとなるタッチフォーヘルスの技術を日本に広めようと、石丸さんは400ページにもわたる翻訳本「完全版タッチフォーヘルス」を発刊されました。この本からは、彼とその仲間の皆さんの熱い誠意が伝わってきます。今回の対談を通じて、石丸さんのひたむきなキネシオロジーへの思いは、私のそれとまったく同じことが分かり、ある種の共鳴を体感しました。「完全版タッチフォーヘルス」が医療や教育などで活かされることを心から願うと共に、キネシオロジーが次の医療となる日を、静かに、辛抱強く待ちたいと思います。(樋田和彦)

[注釈]

(1) カイロプラクター
姿勢の悪さと病気が関係しているという考えに基づき、背骨を矯正して姿勢を正し治療していくカイロプラクティックの実践者。

(2) タッチフォーヘルス
皮膚の反射ポイントと筋肉と中国医学の経絡を結んだ、いわば現代医学と東洋医学をドッキングさせたもの。一般人が家庭でできる画期的な健康術。

(3)スリー・イン・ワン
正式にはスリー・イン・ワン・コンセプツ(からだ・こころ・魂をひとつのものとして扱うといった意味)と言い、ゴードン・ストークス、ダニエル・ホワイトサイド、キャンディス・キャロウェイという3人によって開発されたもので、治療において扱われる問題を、感情的ストレス、トラウマ(心理的な外傷)とむすびつけて考えるキネシオロジー。
(筆者樋田はこれにストレス学説をもとに、ノルアドレナリン・アドレナリン・セロトニン・エンドルフィン・ドーパミン・サブスタンスP・アセチルコリンなどの化学物質を用いて検索しホリスティック(全人的)に診察治療を行っている)

「タッチフォーヘルスとは」
アプライドキネシオロジーについて、ジョン・シー博士はこう考えました。「医療行為とは違い、身体に触れるだけだから医者に限らず一般の人もできる。そうだ、自分の患者さんに教えてあげよう。患者さんたちは家で自らバランス調整をして元気になり、病院に戻ってくる必要もなくなる」と。そして、仲間である多くのキネシオロジストたち、カイロプラクターたちに「これを一般の人に広めましょうと」と説いたそうです。
しかし、アプライドキネシオロジーの創始者であるジョージ・グッドハート博士も含め、最初は全員反対したそうです。しかし博士は「広めるべきだ」と主張し続け、とうとうジョージ・グッドハート博士は根負けし、「君がそこまで言うなら、一般向けに本を書けば良い」と認めました。そしてアプライドキネシオロジーを体系づけて1970年代に出版した本が「タッチフォーヘルス」です。つまり、最先端の医学であるアプライドキネシオロジーを、一般の人でも使えるようにしたものが「タッチフォーヘルス」なのです。
それから50年近く、ずっと使われ続けているのに、いまだに医学として認められていない。そこで私は、今の医療保険に代わるものとして、タッチフォーヘルスのインストラクターを育成しています。日本中でインストラクターが活動できるよう、準備をしているのです。(石丸賢一)

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